あなたと手をつないで、夕暮れの中、ただ歩いている。
つまらない話題を口にしては笑いあう。
とても幸せな時間を今、噛みしめているというのに、
つないだ手の温かさを、信じきることができない。
人ってのはとても気まぐれで飽きっぽいから、
いつこの手を振りほどかれてしまうか分からない。
(それか、私が自ら振りほどくのかもしれない。)

「大丈夫、寒くない?」

「うん、平気。」

手のひらと同じくらい温かい言葉。
こんなわたしに優しくしてくれるあなたは、本当にすてきな人。
わたしにはもったいないくらい、すてきな人。
同じ口でいつか別れの言葉を紡がれても、
わたしは笑っていられるかしら?
今までとても楽しかったわと、穏やかな微笑みを浮かべて
そうしてそのまま、さようならと手を振れるかしら?

ねえほら、日が沈んでゆく。
どんなにきれいな夕暮れも、所詮は夜に向かうプロセス。
赤さがだんだん失われていって、その反対側から空に迫る闇。
いつの間にかわたしは立ち止まっていて、
あなたはそんなわたしを、数歩先から見つめている。
とてもとても優しい表情で。
小走りであなたに追いついて、自分よりも高いところにある
その顔をじっと見つめると、あなたは照れたように笑った。

「気は済んだ?」

「うん、きれいな夕焼けだった。」

未来のことはなにもわからない。
なにもわからないから、今は手をつないで二人で歩く。
できればこんな日がずっと続くといいのに。

そんなわがままを心のうちで呟くことくらい、
許されたっていいでしょう?



ねがいごと
(明日も、そのずっと先も、あなたに隣にいてほしい)










































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