雨に濡れた草の上に寝転ぶ。
見上げた空は、まだどんよりと曇っていて
分厚い灰色の雲が太陽を隠している。
ぐっしょり濡れたカッターシャツが体にはりついて、気持ち悪い。
水を吸ったスカートが、べちゃりと太ももにのっている。
ふふ、という音が口の端から漏れた。
一度緩んだ頬と喉はなかなか元に戻らず、
自分のものとは思えない甲高い笑い声が、雨と一緒に空気を振るわせる。
熱病に罹ったように、体中が熱い。
このままずっと、世界が終わるまで雨に打たれていたい。
何かを大きな声で叫びたい。大声で歌いたい。
涙のせいなのか、雨のせいなのか、視界が滲んで揺れる。
自転車に乗ったおじさんが、とても変な顔をしてわたしを見ていた。
どうしたいのか、自分でもよくわからない。
ぐちゃぐちゃにしてしまいたい。
切り刻んで、丸めて、放り投げたいよ。
なにを?ああ、それさえもわからないんだ。
熱をもって赤くなった頬の痛みは、
雨のせいか少し和らいでいた。
さっきから口の中で、鉄さびの味がしている。
まだ生きてる。
痛みだって感じるし、血だって流れてる。
でも、わたしのことを必要としてくれる人はいない。
母さんはまだ、お酒を飲んでいるのだろうか。
もうどうだっていいんだ、
どうだって、どうなったって、構わない。
わたしの願いは、そんなに難しいことだっただろうか。
あの人が愛してくれるのを待つ
(誰も迎えにはきてくれないから、仕方なく立ち上がった)