テレビの画面に、同い年くらいの少年が映る。
がりがりに細った腕に抱えているのは、黒光りする本物の銃。
引き金を引けば、鉛の銃弾が人を本当に殺してしまう。
作り物の映画でもドラマでもない、真実。
まっすぐにカメラを見つめるその目は、本当は何を見ているのか。
背景に映る遠い国の空は、日本の空の色と変わらない。

映像が変わる。
戦争で被害を受けた子供たちを治療する施設。
地雷で、手や足を吹き飛ばされた子供。
リハビリの痛みで泣き叫ぶ声に、「ママ、ママ」という字幕がつく。
クマの人形を抱きしめる少女は、目にいっぱい涙をためている。
自由にならない足で、立ち上がる練習をしている男の子が
カメラを見上げて微笑んだ。
立ち上がって歩くその先には、戦争のない未来が広がっているはずだと
ナレーションがそう言った。

また、映像が変わる。
リストカットをしている、どこかの中学生。
モザイクがかかったその顔は、どんな表情をしているんだろう。
自分で切った手首をじっと見つめながら、
モザイクのかかった声で、そっと呟いた。
「自分でも、なんでこんなことをしているのか分からない」と。
ナレーションが何かを語りだしても、その子のその言葉が
耳にはりついてなかなか消えない。


番組が終わっても、なぜかテレビの前から動けなくて
着信音が鳴り響く携帯を見つめながら、泣いてみた。



あたしがくことで、
何かが変わるわけでは、
ないのだけれど。































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