わたしのふるさとは、どこにいったのでしょう。
ここは、灰色でさみしいのです。
ときどき、ヒトというものが、わたしをじろじろみていきます。
なぜだか知りませんが、みな満足そうな顔をしています。
なぜなのでしょう。
食べ物は、おいしいのです。
住みかも、きれいなのです。
だけど、なにかが足りないのです。
それがなんなのか、私は私のなかでわかっている。
でも、けして手に入れることはできないのです。
ああ、あの本物のみどりに触れたい。
少しかさかさで、不器用な優しさでわたしを包む
あの風をおもいきり味わいたい。
どこまでも続くひろいひろい大地を走りたい。
心の檻もぶち壊して、遠く、遠く。
ここは、少し、きれいすぎる。
ここは、少し、作られすぎている。
もう二度とあそこにはもどれない。
私はゆっくりと瞼を閉じて、
あの場所を、想う。