このまま風になれるようが気がする。
足がびりびりするし、顔に当たる風が冷たい。
でも俺は走ることを止めない。止められない。
この顔のにやにや笑いも、消せない。

話したいことがたくさんあるんだ。
体育大会で俺が団長をして優勝した話、
すごくいじわるだったあいつが今恋をしてるって話。
きっと君は笑って聞いてくれる。
そして、「ねえ、他になにがあったの?」って言ってくれる。
伝えたいことがたくさんあるんだ。
君がいなくなって、2日間何も食べられなかったことや、
何度も君の電話番号を暗唱して、すっかり覚えてしまったこと。
君は笑って聞いてくれるかな。
「好きだよ」って言っても、笑顔のままでいてくれる?

せっかくセットしてきた髪は風に吹かれて元に戻った。
白いカッターシャツがばさばさと風に揺れる。
周りの奴らが変な目で俺を見るけど、それがどうしたっていうんだ。
心臓がきりきりと痛む。
息が、続かない。
それでも、俺の足は止まったりしない。
できるなら、もっと速く。速く。
 
君に会いたい。

 

もうすぐ 君の待ってる駅に
    ゴールイン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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